所蔵品のご紹介

一茶筆「賀六十」自画賛

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一三二・五×二八・四 紙本墨画 軸装

 自画像とおぼしき人物を描き、賛を加える。「人も一茶」と款するのは得意の手段で、花押は蝸牛形。画は一筆画とも思われる練達の線画で、一茶が自画像を描く折の独自の手法。書に素朴さがにじみ出ている。「賀六十」とあり、揮毫年次は文政五年(一八二二)。諸事解決して乏しさの中に親子三人で落ち着いた、生涯の最も平和な年の作品。

 一茶(い っさ)は小林氏、別号亜堂・俳諧寺など。信濃の人。趣味化通俗化に低迷する化政期俳壇の中で、貧しい農村の現実を直視した一茶の俳風は、ひときわ異彩を放った。正岡子規は、一茶の句の生命は、滑稽・諷刺・慈愛にあると指摘した。編著『おらが春』『一茶句日記』ほか。宝暦十三(一七六三)〜文政十(一八二七)



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