一八・〇×四九・〇 扇子
句は、『続虚栗』に「草庵」と前書して載る。深川の芭蕉庵から爛漫たる江戸の春を遠く眺めて詠んだもの。駘蕩たる春景を詠んだこの句は人々に好まれ、揮毫の依頼も多かったらしく、ほかにも真蹟が伝わる。本点は、扇子の折目に文字がかからないように配慮され、多少細長い字となっている。揮毫依頼者が持参して芭蕉に書かせたものと推察される。桜花を散らした豪華な扇面と筆蹟との調和が美しい。
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